社会保険労務士は何をしてくれるの?

社会保険労務士制度は、企業の需要に応え、労働社会保険関係の法令に精通し、 適切な労務管理その他労働社会保険に関する指導を行い得る専門家の制度です。 この制度は、労働・社会保険に関する法令の円滑な実施を図り、事業の健全な発達 と労働者たちの福祉の向上を目的とした社会保険労務士法(昭和43年6月3日法 律第89号)により定められています。

社会保険労務士とは、社会保険労務士法に基づき、毎年一回、厚生労働大臣が実 施する社会保険労務士試験に合格し、かつ、2年以上の実務経験のある者で、全国 社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者をいいます。 平成19年4月末、社会保険労務士は全国で31,232人、社会保険労務士法人会員は236法人です。

社会保険労務士の仕事

年度更新・算定基礎など

  • 労働社会保険の適用
  • 労働保険の年度更新
  • 社会保険の算定基礎
  • 各種給付金、奨励金の申請
  • 就業規則の作成・変更

労働保険の年度更新事務(4・5月)・社会保険の算定事務(7月)は、事務的にも煩雑で企業にとって大きな負担となっています。私たち社会保険労務士は、労働社会保険の複雑で多岐にわたるさまざまな事務手続きを円滑に、しかも適確に処理いたします。

年金の相談・請求など

  • 年金の相談
  • 年金の請求

現在の年金制度は新旧の制度が並立しているために、大変わかりにくい点が多くなっています。私たち社会保険労務士は、年金の加入期間、受給資格等についてわかりやすく説明するとともに、年金の裁定請求に関する書類を依頼人の皆様に代わって作成、提出いたします。

労働安全衛生

  • 安全衛生管理
  • 安全衛生教育
  • 就業環境の改善

労働者の安全管理、健康の保持増進を確保するのは、事業者の責務です。私たち社会保険労務士は労働災害の防止、従業員への安全衛生教育等を通じ、快適な職場環境の実現をお約束いたします。

労使関係

  • 個別労働関係紛争の事前防止や解決
  • 紛争調整委員会におけるあっせん代理
  • 労務診断
  • 雇用・人事・賃金・労働時間の相談
  • 給与計算・賃金台帳の調製

解雇・賃金不払・リストラ等労使間のトラブルが急増しています。私たち社会保険労務士は、個別労働紛争トラブルの事前防止から解決までのご相談に応じます。

職場のトラブルは、これまで裁判で解決するのが一般的でした。しかし裁判には多くの時間と費用がかかります。裁判は原則公開で行われ、「勝った」「負けた」の関係を生みだし、円満な職場関係の回復には程遠いものでした。

そこで、裁判になる前(裁判にならないように)の解決手段として、ADR(裁判外紛争解決手続)が活用されるようになっています。
ADRは、個々の経営者と労働者との間で発生するトラブル(個別労働関係紛争)を対象に、都道府県労働局の「紛争調整委員会」または社会保険労務士会の「社労士会労働紛争解決センター」が、当事者から意見を伺い、双方が納得できる和解案を示し、解決するものです。

ADRの専門家特定社会保険労務士は、労働問題の専門家である社会保険労務士が、更にADRに関する研修を受け、国家資格に合格したADRのスペシャリストです。
豊富な経験と知識で依頼者(経営者もしくは労働者)に代わり、手続き・解決まで導きます。

社会保険労務士の業務

1. 代理・代行
労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、 厚生年金保険法、国民年金法等に基づく申請や届出 休業補償、出産育児一時金、出産手当金、傷病手当 金などの請求 労働保険、社会保険の加入・脱退、各種給付金・助成 金などの請求
2. 書類作成
就業規則、賃金・退職金規程、労働者名簿、賃金台帳 などの作成
3. 相談指導
賃金、退職金、労働時間、福利厚生、年金、採用、人事、賞与、解雇、定年、教育訓練、能力開発、安全衛生管理、個別労働関係紛争の事前防止や解決、紛争調整委員会におけるあっせん代理、労務診断など

委託するメリット

企業経営に専念

事業主は、労働・社会保険の複雑な手続きから解放され、経費の削減にもつながります。

事務手続きの改善

行政機関等に提出する申請書・届出書・報告書もスピーディかつ正確に作成します。

適切なアドバイス

それぞれの事業所に適したアドバイス、指導が受けられます。

経営の円滑化

社会保険労務士が持つ法令改正や労務管理全般に関する最新情報により、事業所は有利な各種給付金・助成金が利用できます。

にせ社労士に注意!

労働社会保険に関する申請書等の作成及び届出の業務や労働社会保険法令に基づく帳簿書類の作成業務などについて、業として行えるのは社会保険労務士法により国家資格を付与された社会保険労務士だけです。

アウトソーシング等を行う法人組織、経営コンサルティング会社等の無資格者や、労務管理士などと称していても社会保険労務士でないものが上記の業務を行えば、社会保険労務士法違反となります。また、無資格者が、労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類を作成する機能を備えた給与計算システム等を使用することも同様に社会保険労務士法違反です。

国家資格者である社会保険労務士は、社会保険労務士証票及び都道府県社会保険労務士会会員証など身分を証明するものを所持しています。

「労働保険事務組合」について

労働保険事務組合は労働保険の徴収等に関する法律の規定により設立された団体であり、その業務は下記の通り規定されており、規定以外の社会保険労務士業務は行えません。

  1. 概算保険料、確定保険料その他の労働保険料の申告納付(印紙保険料に関する手続を除く。)。
  2. 雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転入及び転出の届出その他の雇用保険の被保険者に関する届出等に関する手続。
  3. 保険関係成立届、労災保険又は雇用保険の任意加入申請書、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する手続。
  4. 労災保険の特別加入申請、変更申請、脱退申請等に関する手続。
  5. 労災保険事務処理委託、委託解除に関する手続。
  6. その他の労働保険の適用徴収に係る申請、届出及び報告等に関する手続。
    (社会保険労務士法第27条、労徴法第33号第1項)

なお、社会保険労務士会に所属する会員組織を母体として設立されたSR経営労務センター又は社会保険労務士が併設する労働保険事務組合については、上記以外の社会保険労務士業務は個々の開業社会保険労務士としての資格で業務を行っており、当該事務組合が社会保険労務士業務を行っているものではありません。

「行政書士」について

行政書士については、昭和55年9月1日現に行政書士会に入会している 以外の者は、一切の社会保険労務士業務はできません。 これらの者が社会保険労務士業務を業として行った場合は、法に定める罰則が 適用されます。

なお、昭和55年9月1日現に行政書士会に入会している者であっても、社会保険 労務士法第2条第1項第1号の3の事務代理はもちろん第1号の2の官公署等への提出代行もできないので、事務代理及び提出代行を行った場合は、法に定める 罰則が適用されます。 上記の行政書士並びに同日において未入会の行政書士有資格者及び同日後の 行政書士となる資格取得者は、社会保険労務士試験の受験資格があります。 (社会保険労務士法第2条、同第8条、同第27条、労働省発労徴第6号、庁文発 第2084号、昭和53年8月8日通達)

「労務管理士」について

社会保険労務士は社会保険労務士法(制定昭和43年、厚生大臣・労働 大臣所掌)により業務内容・試験制度・登録・団体等の規定が定められており、労務管理士とは全く関係ありません。

また、労働・社会保険関係の国家資格は社会保険労務士のみであり、社会保険 労務士以外のものが業として社会保険労務士業務を行った場合は、法に定める罰則 が適用されます。 労務管理士は民間の団体による任意の資格と推測され、これをもとに社会保険労務 士業務を行えば罰則が適用されます。 (社会保険労務士法第2条、第3条、第27条)